住宅ローン控除は海外赴任中も受けられる?必要な手続きや注意点を解説

最終更新: October 3rd, 2025
住宅ローン控除は海外赴任中も受けられる?必要な手続きや注意点を解説

「住宅ローンが残っているのに海外転任の命令が出た」

「住宅ローン控除は海外赴任中でも受けられる?」

「海外転出前にしておく手続きはある?」

この記事では、こんな悩みや疑問を解消していきます。

マイホームを購入した後に、転勤が決まるケースは珍しくありません。なかでも大変なのが、海外転勤になった場合。海外赴任中も住宅ローン控除は受けられるのか、赴任中のマイホームは空き家にすべきか賃貸に出すべきかなど、多くの悩みが出てくると思います。

そこで本記事では、海外赴任中も住宅ローン控除を受けられるケースをご紹介します。必要な手続きや注意点も解説するので、海外赴任時の住宅ローンについて悩んでいる方は、ご一読ください。

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住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで新築住宅の購入、あるいはマイホームの増改築をした際に、条件に応じた金額を所得税から控除する制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」といいますが、一般的には「住宅ローン控除」、あるいは「住宅ローン減税」と呼ばれます。

住宅ローンの控除率は、ローン残高の0.7%。つまり住宅ローンの残高が2,000万円の場合、2,000万×0.7=14万円が所得税から控除されます。所得税から控除しきれなければ、翌年の住民税からも一部控除されますよ。

控除期間は最大で13年間ですが、条件によって異なります。また2019年以前に入居した場合の控除期間は、基本的に最大10年間です。

住宅ローン控除とは?

引用:住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省

住宅ローン控除の適用を受ける方法

住宅ローン控除の適用を受けるには、さまざまな要件を満たしている必要があります。

  • 自分が住むための住宅である

  • 控除を受ける年の12月31日まで住んでいる

  • 床面積が50(40)平方メートル以上ある

  • 所得金額の合計が3,000(1,000)万円以下である

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上である

  • 引き渡し日(工事完了日)から6カ月以内に入居している

  • 1982年以降に建築されているか、現行の耐震基準に適合している など

住宅ローン控除を受ける初年度は、会社員であっても確定申告をしなければなりません。添付書類も多いので、国税庁のチャットボット などで確認しましょう。2年目以降は、会社の年末調整で住宅ローン控除が受けられます。

参考:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

【単身赴任の場合】海外赴任中も住宅ローン控除を受けられる

【単身赴任の場合】海外赴任中も住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンの名義人が海外赴任になってしまうと、住宅ローンの適用要件である「自分が住むための住宅である」という点が満たされません。そのため住宅ローン控除は受けられないと考える人もいるでしょう。

けれども以下2つの条件に当てはまるケースでは、引き続き住宅ローン控除を受けることが可能です。

  • 海外転任の命令等、やむを得ない事情がある

  • 名義人が単身で海外赴任し、家族は引き続きマイホームに住み続ける

この場合の「家族」とは配偶者や子どもなど、生計を一にする親族のこと。他者が住む場合は適用されないので、注意してください。

海外赴任中に住宅ローン控除を受けるための手続き

海外赴任の期間が1年を超える人は、日本の住民票から除票され、「非居住者」という扱いになります。そして非居住者は、国外で得る収入に対して税金が発生しません。つまり国外で給与を得ても、日本の所得税を徴収されることはないのです。

つまり非居住者に対しては、会社で年末調整が行われることはありません。初年度を除いて、会社の年末調整で住宅ローン控除を受けていた人は多いと思いますが、それができなくなってしまうのです。

そのため住宅ローン控除を受けるには、自分で確定申告を行う必要があります。ただ、非居住者が自分で確定申告を行うのは難しいので、納税管理人を立てておき、手続きを代行してもらうとよいでしょう。

海外から確定申告を行うには納税管理人が必要

納税管理人とは、非居住者に代わって税金関係の手続きを行う人のことです。確定申告書の提出や納税手続き、納税通知書の受け取りといった作業を行います。

特別な知識や資格は必要ないので、日本に住んでいる家族が納税管理人になることも可能です。ひとつ注意すべきは、税理士資格を持っていないと確定申告書の作成は代行できない点。資格のない人を納税管理人にする場合は、本人が確定申告書を作成してください。

また納税管理人を立てるには、海外転出前に届出を行う必要があります。e-Tax を利用してインターネット経由で届け出るか、税務署で納税管理人の届出書を提出しましょう。帰国後は、納税管理人の解任手続きを行ってくださいね。

【注意点】国内源泉所得がない年は控除の対象にならない

国内源泉所得とは、日本国内で発生した所得のことです。会社から得る給与はもちろん、土地の売却益や家賃収入、国債や地方債の利息なども国内源泉所得に含まれます。海外転出して非居住者となっても、国内源泉所得に対しては所得税が発生します。

一方、非居住者が海外で得た所得については、課税対象から外れます。住宅ローン控除は所得税から引かれるため、所得税が発生しなければ控除も受けられません。つまり国内源泉所得がない年は、住宅ローン控除の対象にならないのです。

海外赴任の初年度は給与などの国内源泉所得があっても、2年目以降は国内源泉所得が発生しない人も多いでしょう。その場合は控除対象外となるので、注意してください。

【家族帯同の場合】住宅ローン控除を受けられるのは帰国後になる

【家族帯同の場合】住宅ローン控除を受けられるのは帰国後になる

マイホームの名義人が単身で海外赴任し、元の家に家族が住み続ける場合は、住宅ローン控除を受けることができます。反対に名義人が家族帯同で海外赴任し、元の家に誰も住まない場合は、住宅ローン控除を受けることができません。

ただし一度住宅ローン控除の対象から外れても、以下の要件を満たせば、帰国後に再適用を受けることは可能です。

  • 会社からの転任の命令等によりやむを得ない事情がある

  • マイホームを居住の用に供しなくなるまでに、必要な手続きを済ませている

注意すべきは、住宅ローンの控除期間は延長できないこと。つまり最大10年の控除が受けられる物件で3年間の海外赴任期間があった場合、実質的な控除期間は7年間となります。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

1)空き家にしておく場合|帰国した年から住宅ローン控除の再適用が可能

海外赴任中は、持ち家をどうするか悩む人も多いでしょう。主な選択肢は空き家のままにしておくこと、あるいは賃貸に出すことですが、それによって住宅ローン控除の再適用を受けられるタイミングが変わります。

空き家のままにしていた場合は、マイホームを再び居住の用に供した年に、住宅ローン控除の再適用が受けられます。たとえば2025年の10月1日に帰国してマイホームに住み始めた場合、2025年分の住宅ローン控除を受けることが可能です。

ただし再居住日が2026年の1月1日以降になってしまうと、控除の再適用は2026年になります。2025年の控除を受けるには、2025年の12月31日までに再居住してくださいね。

2)賃貸に出す場合|帰国した翌年から住宅ローン控除の再適用が可能

マイホームを賃貸に出していた場合は、住宅ローン控除の再適用を受けられるのが再居住日の翌年になります。たとえば2025年の10月1日に帰国した場合、控除が再適用されるのは2026年以降。空き家にしておく場合と比べて、再適用までの期間が1年遅くなってしまいます。

一方で賃貸に出していると、家賃収入が得られるうえ、家が劣化しにくいというメリットもあります。さらに近年では、あらかじめ契約期間を決めたうえで貸し出すリロケーションも増えています。空き家にしておくのが不安な人や、家賃収入を得たい人は検討してみてもよいでしょう。

【注意点】あらかじめ金融機関への相談をしておく

住宅ローンが残っている家を賃貸に出す場合、あらかじめ金融機関に相談しておかなければなりません。そもそも住宅ローンは、「自分が住むための家を購入する」という目的で借り入れるもの。住宅ローンの残債がある家を無断で賃貸に出していると、規定違反になってしまいます。

規定違反が発覚すれば、住宅ローンの再適用が受けられなくなる、ローン残債の一括返済を求められる、法的措置を取られるといった可能性があります。リスクの高い方法といえるでしょう。

一方で多くの金融機関では、海外転勤はやむを得ない事情と判断されます。そのため賃貸に出す許可もおりやすいので、早めに連絡し、必要な手続きがあれば済ませておきましょう。

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帰国後に住宅ローン控除の再適用を受けるための手続き

Procedures for re-application of housing loan deduction after returning to Japan

家族帯同での海外赴任が決まったら、出国前・帰国後にそれぞれ必要な手続きを行ってください。特に出国前の手続きができていないと、帰国後も住宅ローン控除を受けられなくなってしまうため、注意が必要です。

再適用を受けるための手続きには、特に回数制限はありません。たとえ住宅ローンの控除期間中に複数回の海外赴任があっても、手続きさえ行えば何度でも再適用が受けられます。空き家にする場合も、賃貸に出す場合も同様です。

ここでは出国前の手続き、帰国後の手続きをそれぞれ解説していきます。

1)出国前の手続き|税務署へ届出書を提出しておく

帰国後に再度住宅ローン控除を受けるには、出国前に税務署への届け出をしておきましょう。必要な書類は以下のとおりです。

  • 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書

  • 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書の未使用分

  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の未使用分

転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書は、全員が提出しなければなりません。特別控除証明書・特別控除申告書の未使用分は、交付を受けている人のみが提出対象です。

書類の提出期限は、家屋を居住の用に供しなくなる日まで。書面で作成・提出を行ってもよいですし、e-Taxで作成・提出を行うことも可能です。

参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続1(転居前における手続)|国税庁

2)帰国後の手続き|確定申告時に必要書類を添付する

初めて住宅ローン控除を受ける際と同様に、住宅ローン控除の再適用を受ける際も確定申告を行います。帰国後の確定申告を行う際には、以下の書類を添付してください。

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 ※金融機関等が交付したもの

もしやむを得ない事情によって上記の書類が提出できなくても、その証明ができれば控除の再適用が受けられます。また計算明細書 は国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続2(再び居住の用に供したときの手続)|国税庁

そのほか海外赴任時のチェックポイント

そのほか海外赴任時のチェックポイント

海外赴任の際に必要な手続きは、住宅ローン控除だけではありません。ほかにもやるべきことはいくつもあるので、以下の項目をチェックしておきましょう。

  • 日本に届く郵便物の管理をどうするか

  • 児童手当の受給者を変更するか

  • 駐在保険に加入するか

  • 現地で使えるクレジットカードを持っているか

  • (家族帯同の場合)電気・ガス・水道・ネットの契約を止めたか

海外赴任中の負担や不安を減らすためにも、出国前に手続きを済ませておくと安心ですね。

自分で準備をするのが不安な人には、海外赴任者向けの手続きをサポートしてくれる「海外赴任サポートサービス」もおすすめです。ビザや航空券の手配、住まい探しなど、多様なサービスが受けられますよ。

参考:【海外赴任が決まった方】住民票・転出届・郵便物・必要な手続きを解説 | MailMate

住宅ローン控除 海外赴任に関するQ&A

住宅ローン控除 海外赴任に関するQ&A

住宅ローン控除の適用条件は細かく分かれており、単身赴任か家族帯同か、あるいは空き家にするか賃貸に出すかによって、控除の可否やタイミングが変わります。さらに海外赴任の状況も人によって違うため、「この場合はどうなるの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

ここでは、海外赴任中の住宅ローン控除に関する3つの疑問にお答えしていきます。自分の状況に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしてくださいね。

Q1)2016年3月31日以前に購入した家の住宅ローン控除はどうなる?

実は単身での海外赴任時に住宅ローン控除が受けられるのは、2016年4月1日以降に住宅を取得した場合に限られます。それは2016年3月31日以前に取得した住宅の場合、住宅ローン控除の対象者が「居住者」に限定されているため。対象者が非居住者になってしまうと、住宅ローン控除も適用されません。

ただし居住者期間に取得した住宅については、帰国して家族と一緒に住むようになれば、住宅ローン控除の再適用が受けられます。

なお家族帯同で海外赴任をする場合は、住宅の取得時期による違いはありません。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

Q2)家族が先に帰国した場合も住宅ローン控除は適用される?

家族帯同で海外赴任している際に、家族だけ先に帰国するケースもあるでしょう。そのケースでも、住宅ローン控除の再適用を受けることは可能です。家族が帰国して12月31日まで居住していれば、その年分から控除を開始することができますよ。

ただし住宅ローン控除を受けるには、住宅を取得してから6カ月以内に居住することが条件です。そのためマイホームを購入するタイミング、あるいは帰国するタイミングに注意してくださいね。

Q3)海外赴任中に購入した家の住宅ローンは組める?

海外赴任中でも、帰国後に住むためのマイホームを購入することは可能です。けれども住宅ローンを組めるかどうかは、状況によって異なります。

海外赴任中に住宅ローンを組むための条件は、以下の3点です。

  • ローンを組む人が単身で海外赴任する

  • 帯同中の家族が先に帰国する

  • 近々帰国する見込みがある

この条件に当てはまっていれば、金融機関とのローン契約もとおりやすいと考えられます。

ただし住宅ローンの審査にあたっては、年収や勤務先、年齢なども判断材料になるため、必ず住宅ローンを組めるとは限りません。まずは金融機関に確認してみましょう。

住宅ローン控除は海外赴任中でも利用できる場合がある

住宅ローン控除は海外赴任中でも利用できる場合がある

本記事では、住宅ローン控除は海外赴任中でも受けられるのか、またその際にはどんな手続きが必要なのか解説しました。基本的に家の名義人が単身赴任をして、家族がその家に住み続ける場合は、住宅ローン控除の適用が可能です。この場合は特別な手続きも必要ありません。

一方、日本に家族が誰も残らないのであれば、住宅ローン控除の適用対象外となります。帰国後は再び住宅ローン控除の適用を受けられますが、そのためには出国前・帰国後それぞれで手続きが必要です。いざという時に慌てないためにも、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンの控除額は、最大で数百万円にも上ります。家計にも大きな影響を与えるので、うまく活用したいですね。

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